2008年10月25日

甲野善紀さんと茂木健一郎さんの対談本、『響きあう脳と身体』

甲野善紀さんと茂木健一郎さんの対談本『響きあう脳と身体』を読みました。非常に共感させられることの多い本でした。

『甲野さんの身体技法は、様々なファクターが同時並列で作動した結果、発生する技であるから、それを「ここがこうなるからこうなる・・・」といったような、順序だてた陳述は不可能である』という(ようなニュアンスの)一節がありました。

治療していても常々同じようなことを感じます。身体のどこかが痛い、ということも何かひとつの原因だけでそういう現象が起こっているということはないと思っています。

そのうちの一つのファクターだけを取り上げて「ここがこうなっているから痛みがでるんです」というのは、どうも気持ち悪いんですよね・・・。

もちろんその取り上げた一つのファクターに関しては、それなりに正しいことを言うこともできると思うのですが、それ以外にまだ触れていないファクターが計り知れないほどあると思うと「これだけクローズアップするのも何かな・・・」という気がしてしまうのです。

しかしそんなことを言い始めたら、現実は無限のファクターから構成されているのだから(ファクターを見出そうとすれば無限に見出せるのだから、というのが正確ですね)際限ないです。

要は全て仮説なんですよね。竹内薫さんの『99.9%は仮説』にも述べられていましたが、仮説の限界を常に認識していることが科学的な態度なんだと思います。
posted by 堀 雅史 at 10:45| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月14日

渋谷Bunkamuraのミレイ展

昨日は渋谷Bunkamuraのミレイ展にいってきました。

昼過ぎにいったので並ぶのを覚悟していましたが、待ち時間ゼロで入れました。もちろん混雑はしてましたけど・・・。

作品はどれも素晴らしかったです。感情表現豊かな人物画は色々な物語を想像させられました。悲壮感のある作品も色使いがとても鮮やかで美しいので、つい魅入ってしまいました。

女性や子どもの人物画もどれもとても美しかったのですが、最も印象的だったのは、ミレイの友人である『トマス・オールダム・バーロウ』の肖像です。彼は彫刻家で、銅版画の作成ではミレイと長年創作活動を共にしてきたそうです。その表情からミレイとの間柄がなんとなくうかがえました。芸術家同士の妥協のない真摯な向かい合い、素直な尊敬、親近感・・・。

風景画では『霧に濡れたハリエニシダ』がよかったですね。僕は抽象的な作品の方が好みのようです。なんとなく画の世界にすんなりと入れるような気がします。

美術館を出た後は同じフロアの本屋さんへ。さすが美術館の隣だけあって美術関係の書籍やアートなグッズが充実していました。普段あんまり立ち寄らないジャンルなので、かなり好奇心を刺激させられました。

棚を眺めながら、目にとまった本を適当にめくっていたら非常に面白い本に出会いました。衝動的に購入です。ネットでの買い物だったら絶対出会わない本です。こういうことがあるから直接お店にいくのは楽しいですね。
posted by 堀 雅史 at 18:51| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | お散歩、お出かけ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月07日

筑波大学理療科教員養成施設で『医療と社会』の講義

今日の午前は、筑波大学理療科教員養成施設で『医療と社会』の講義をしてきました。色々な分野でご活躍の先生方が各業界の現状について講義をするという科目です。僕は開業鍼灸師の立場から見た治療院業界の現状について話をさせていただきました。

中盤は自分の治療院経営の流儀についても話を広げていきましたが、いつも通りかなりコアな話になってしまいました・・・。あまりにコアすぎて学生さん達引いてなかったかな〜?と若干心配。まあ、いろいろな考え方に触れておくのはいいこと、ということにしてもらえるとありがたいです。

それよりも、スーパーうっかりプレーをやってしまいました。授業時間は11:45までなのに、なぜか12:15と思ってしゃべってしまいました。

11:45の時点で準備していた講義内容をすべて話し終え、そこで終わればいいものをナゼか、「なんか想定していたよりも早く用意していた内容を全部しゃべりきっちゃったな〜。でもまだ時間30分もあるじゃん。やっべぇ何しゃべろう・・・?」と勘違いし、慣れないくせにアドリブで治療院開設にあたっての諸注意事項を話し出すワタシ・・・。本当はバッチリ時間通りだったのに・・・。

そのまま12:05までしゃべったところで「ちょっと、早いんですけど早めに終了しましょうか〜?」と学生さん達に振ったら「先生、45分までなんですけど・・・」と。

「え〜、12:45までですか?すいません。そんなに話すことないんですけど。どうしましょうか〜?」と、まだ気付かないワタシ。(いいかげん気付け)

「いいえ、11:45までです」

「はい?」ここで自分が勘違っていたことにようやく気付く。

「もう授業時間終わってるんです」

「えっ!?そうでしたか!?すっ、すいませ〜ん!じゃあ、すぐ終わりましょう(汗)」

そんなシメで講義を終えてきました。今日は余裕なかったんだね、自分・・・。

午後は治療室にもどり、常連の患者さんを治療。はぁ〜落ち着く・・・。やっぱりこっち(臨床)が本業だな、と思いました。

まあ、そんなことはありましたが、こうして年に数回人前で話しをさせていただく機会を与えられるということにはとっても感謝しています。これから、さらに良い内容の話ができるように、そして時間間違いをしないように、勉強&練習していきたいと思います。

2008年10月04日

「その人に興味を持てば自然にわかるよ」

今日、膝の痛みで通ってらっしゃる患者さんを治療しました。ずいぶん良くなられているのに、エアロビをやるとしばらく痛いとのこと。でもお話をよくうかがったら、どのようにすればいいのかすぐに解決でした。

このことで、ふと思い出したことがひとつ。研修生の頃、臨床でわからないことだらけのとき、宮本俊和先生(筑波大学大学院助教授)に「その人に興味を持てば自然にわかるよ」とよく教えていただきました。

そういう短い言葉で教えていただいたことの意味を本当に理解できるようになるには、それなりの年月が必要ですね。鍼灸師になって間もない頃は、とにかくテクニックを身につければ治療ができると思っていましたから・・・。

野口晴哉先生の『治療の書』にも“患者を目の前にして頭の中の知識に答えを求めようとするのは、その患者をみていないこと”というような一節があったと思うのですが、一脈通じるところがあると思います。

知識は知識でもちろん必要なんですが(そういうツッコミは置いといて)、治療家の心構えとしてその通りだと思うんです。こういうことを言葉にすると、なんだかんだ矛盾がでてくるから、本当に大事なことはやっぱり言葉にできないんでしょうね・・・。

そういえば最近、宮本先生がスポーツ傷害の本をだされました(専門家向けです)。研修生時代に一緒に勉強していた先生方も執筆陣に加わっています。初版は穴があくほど読みました。スポーツ傷害のみならず、運動器疾患の診療全般において大変価値のある本だと思います。
posted by 堀 雅史 at 18:27| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 治療室のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする