2007年07月26日

ミハイ・チクセントミハイさんの『フロー体験 喜びの現象学』

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ミハイ・チクセントミハイさん(今村浩明さん訳)の『フロー体験 喜びの現象学』を読みました。最近読んだ中では抜きん出てインパクトのある本でした。

フロー理論を最初に知ったきっかけは、天外伺朗さんの『マネジメント革命』(こちらも素晴らしい本です。フロー経営の話です。)で引用されていたからです。初めて知ったときには、「こんな研究をしている人がいたのか〜!」とショックを受けました。いつか原著を読まなくては、と思っていました。



フロー理論とは何か、というと「一つの活動に没頭し、他の何事も問題にならない状態。その活動が純粋に楽しいから時間と労力を費やすような状態」といえます。

フローの語源は、被験者の一人であった詩人でもあるロッククライマーが登山の楽しさについて、以下のように語ったことに由来するそうです。

「山を登る喜びは、頂上に到達することではなく、登っているという状態こそが喜びなのです。それは自分がひとつの流れと一体になる感覚です。その流れを保ち続けるために登るのです。」



フロー状態には以下のような特徴があげられます。

1.行為への深い集中
雑念がなくなり、その行為に深く集中する。心理的な容量でそれ以外のことを占める領域がなくなるほど、没頭する。

2.自意識の喪失。
ロッククライミングであれば、山と自分がひとつになるような感覚。

3.時間間隔の喪失
楽しいことは早く過ぎますよね。あれのことらしいです。

4.どんな行為でも起こる。
スポーツでも、ゲームでも、ビジネスでも、音楽でも、食事を味わうことでも、人と会話することでも・・・、どのような行為でも、以下の条件が整えばフロー状態になることはできます。




フロー状態に入るための条件

1.自己目的的であること
内発的な動機に基づいてる。報酬や見返りを期待しない、行為そのものに対する純粋なモチベーション。

2.能力と難易度のバランス
その行為が難しすぎて不安にならず、簡単すぎて退屈しないような、適度な挑戦が保たれること。

3.確かなフィードバックの存在
自分の行為が上手くいっっているのか、自己の成長に結びついているのかを確認できること。



チクセントミハイさんは、フロー活動に入ることと、自己の統制(精神的な自律)は相互的に高めあう関係にあり、それが個人の幸せ、社会の幸せにつながっていくと述べています。

他にも、スポーツ、仕事、政治、人間関係、恋愛、セックス、宇宙とのかかわりなどのテーマについても非常に深い洞察が述べられていました。

全体を通して、印象に残るメッセージがたくさんありましたが、「幸せ、喜びは起こった現象をどのように受け取るか次第であって、外的な状況がどうであるかは関係ない(自己の統制がとれていれば)。」というメッセージがもっとも印象的です。喜び、幸せというものの本質について鮮烈な示唆を与えてくれる本でした。
posted by 堀 雅史 at 19:11| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(3) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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